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不動産の活用

今すぐできる相続税対策―不動産を活用して節税

1、不動産の相続税評価額は、時価(取引価格)より安く評価されます。

相続税は、亡くなった人の財産に課税されますが、課税される財産額は、相続開始時(死亡日)の財産の評価額です。
主な財産について具体的に説明します。
①   預貯金⇒死亡日の預貯金預入残高+既経過利子-源泉徴収額
②   上場株式⇒次のABCDでもっとも低い額
A相続開始時の時価
B相続開始時の月の終値の平均額
C相続開始時の月の前月の終値の平均額
D相続開始時の月の前々月の終値の平均額
③   上場されていない会社の株式⇒以下の方式の内、該当するもので評価
 Ⅰ、原則的評価
純資産価額方式、類似業種比準評価方式または併用方式
 Ⅱ、例外的評価   配当還元方式
④   不動産
 X、土地―路線価方式または倍率方式により一定の計算式で算定した評価額
 Y、建物―固定資産税評価額
   
預貯金や株式は、実際の取引価格に近い評価額になりますが、不動産は、異なります。
路線価は、一般的に公示価格の80%になるよう定められています。
倍率方式は、土地の固定資産税評価額が基準になります。

2、さらに不動産は、その利用形態により、次のような評価上・税制上の特典により、評価額を引き下げることができ、節税になります。

自分が居住する土地なら、小規模宅地等の評価減の特例の適用が受けられます。すなわち特定居住用宅地として330㎡までの面積なら評価額を80%引き
下げられます。
 
例えば路線価1億円の土地(330㎡)の土地に住宅を建て居住すれば、特定居住用宅地として特例の適用要件を満たせば、土地が2000万円の評価になり、相続税が節税できます。
 
自分が事業用に利用する不動産なら、以下のような評価減があります。但し適用要件などに注意してください。
 
A、 貸家建付地―アパートや貸家の経営で節税
例えば、路線価で1億円の価値があり借地権割合60%の更地(200㎡)にアパートを建て満室にしたとします。
この場合、土地の評価は以下の計算式により8200万円に評価が下げられます。
1億円(更地評価額)×(1-0.6×0.3)=8200万円
さらにアパートや貸家の敷地は、貸付事業用宅地ですから、小規模宅地等の評価減の適用があれば、面積200㎡まで50%
減額して4100万円まで評価が下げられ節税できます。
8200万円×(1-0.5)=4100万円
 
B、 アパートや貸家を建てた場合、建築資金を相続人名義で借り入れたときは、亡くなった時に借入金が残っていれば、借入金額分だけ相続財産がマイナスになり、相続税が節税できます。
またアパートや貸家の建物評価額も自己使用の建物より引き下げられます。例えば固定資産税評価額1000万円の自宅は相続税評価額も1000万円ですが、固定資産税評価額1000万円の貸家は30%減の700万円になり、節税できます。
 
C、 事業用小規模宅地等の評価減―賃貸業以外の事業をして節税
例えば、路線価で2億円の価値がある更地(400㎡)に店舗を建築して飲食店と客用駐車場として使用しているとします。
この場合事業用宅地として400㎡までの面積なら評価額
を80%引き下げられます。事業用宅地として小規模宅地等の特例の適用要件を満たせば、土地が4000万円の評価になり、相続税が節税できます。
2億円(更地評価額)×(1-0.8)=4000万円
 
なお、例えば農家がトラクター・コンバイン等の農業用機械を保管する倉庫を400㎡の敷地に建てれば、事業用宅地の80%評価減の適用を受けられます。自宅部分は特定居住用宅地として330㎡まで80%評価減の適用が受けられれば、合計730㎡の土地について80%評価減でき、更地の評価額が高い土地ほど相続税の節税効果が大きいといえます。
 
小規模宅地等の評価減特例の詳しい内容については、別項参照⇒
 

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この記事の監修者

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弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)

小林 幸与(こばやし さちよ)

〇経歴

明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。

日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。

豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。

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