死因贈与について
死亡時に財産を譲る手段の一つに死因贈与というものがあります。これは財産を分け与えたい人物と生前のうちに契約を行うことで死亡時に効力を発揮する方法で、贈与と名前がついているものの贈与税ではなく、相続税の対象となります。税率的には贈与税より、相続税の方が安いという事を理解しましょう。わかりにくい場合は税理士に相談するのも一つの手です。
例えば贈与税の場合、直系尊属ではない一般の方に分け与えた場合、600万円超1000万円以下で40%、1500万円超3000万以下の時点で税率は50%となり、3000万円超の場合は55%の税率が科せられます。これにくらべ相続税の場合は、1000万円以下は10%、1000万円超3000万円以下は15%となり、55%を科せられるのは6億円超となっています。贈与税にくらべて相続税のほうがかなり安いですよね。
そのため生前贈与より死因贈与を使った方が節税になるため、どちらでも良いならば、税理士も相続税の対象となる死因贈与のほうを進める場合が多いと思います。ただし名前の通り、ご本人が亡くなってから効力が発生する方法のため、生前に分け与えたいならば相続税のほうが贈与税よりお得でも生前贈与を行うしかないので、どうしても生前に分け与えたい場合は税理士にしっかり相談してみましょう。
相続税の安さをとるか生前に効力が発生する贈与であることのメリットを生かすかが最大のポイントになるでしょうが、たとえば200万円以下の場合は生前贈与でも死因贈与でも税率は同じく10%であり相続税の方がお得という事はなくなるため、税理士に相談した場合でも頭を悩ませることはありません。ですから贈与額を200万円以下でおさえられるならば相続税か贈与税かという事を気にせず行えるということはおぼえておきましょう。
死因贈与の特徴を詳しく知るには弁護士に相談するのがベターですが、死因贈与はそもそも方式が自由で、口約束であったとしても成立させられます。ただし口約束だと証拠が残らず、いつでも撤回できるので、弁護士に相談して最適な判断をするべきです。また死因贈与は原則としていつでも撤回する事が出来ます。ただしどんな場合でも簡単に撤回できるわけではないので、撤回したい時も一度弁護士に相談したほうが賢明といえるでしょう。
また死因贈与は契約の一つであるため、贈与者と受贈者の合意によって成立しますが、書面にすると簡単に撤回できなくなるので、確実性の高い手段の一つとなります。ただし、契約であるがために20歳未満の場合は、法定代理人の同意などが必要になります。遺言の場合は遺言する人が15歳以上であればこのような同意は必要ありません。
死因贈与にどれだけ税金がかかるか詳しく把握したい場合は、自身で計算するだけでなく税理士に相談したほうが賢明。というのも財産を渡す方法はいくつもあり、それぞれに細かいルールが課せられているため、一般の方が全てを把握するのは非常に難しいといえるからです。税理士であれば最も節税となる財産の分け方や、トラブルを回避する方法など最もリスクの少ない方法を選択する手助けをしてくれるため非常に有用です。特に多額であればあるほど税金の額はあがっていくので、安易に行動すると損をしかねないため注意しましょう。少なくとも前述のとおり、税率だけでいえば生前贈与より死因贈与のほうがかなり安く済むため、高額であるほどお得だといえるでしょう。節税は出来ても税金から逃れる事は出来ないため、分け与えたい相手が多いならば、早めにどうするか決めて状況を整理し、後々にトラブルを招かないように工夫しておいたほうが精神的にも楽になるでしょう。