高まる節税相続税対策の関心
これまで相続税や遺産に関するトラブルなどは、ワイドショーやサスペンスドラマなどの世界の出来事で、一般人にはあまり関係がないと思われていました。
しかし、2015年以降の大幅な税制改革によってこのような楽観的な意見を許さない時代になってきています。
2015年1月、基礎控除枠の改定が行われましたが、改定前の5000万円から2000万円削減され3000万円にまで縮小されました。また従来ならば法定相続人の数1000万円の追加控除枠を儲けることが出来たのですが、これも法定相続人の数600万円に大幅に縮小されました。
この結果これまで一部の経営者や地主など莫大な財産を持っていた場合に限定されていた遺産相続に伴う問題ですが、一般市民にまで広く悩みの種として関心が広がっています。
そうした中で、生前・死後問わず税理士などにも多くこの相続税に関する相談が寄せられています。大手信託銀行の行った調査では、過半数を超える方が生前に贈与などを行うことで相続税対策を行っていると回答し、2割ほどは遺言書の作成や税理士などへ具体的な対策を相談するなどの行動をとっています。
このように相続税に関する関心は年々高まっており、基礎控除枠の削減により一般的な財産レベルでもその対策を行わなければ、子供や孫に残せる財産が大幅に目減りしてしまいます。
そのような事態を避けるためにも生前にしっかりと税理士などに相談し、対策を立てる事が重要です。
専門知識が無ければ思いつきませんが、相続税に関わる節税テクニックは長い年月でかなりの部分積み重なれているので、それらを利用することで大幅に課税分を軽減出来ます。
そうした関心の高まりの中、税理士などを介して行われているのが生前に不動産などの財産を現金化しておくというテクニックです。現金化というのは対策で非常に重要なテーマで、相続税対策だけでなく、遺族による遺産トラブルも未然に解決することが可能です。
その理由をご説明します。
税理士などに駆け込みで相談が寄せられるケースとして、支払いが決定しても支払えるだけの現金が無いという事態が存在します。それは相続税は預貯金などわかりやすい資産に対してのみ課せられるのではなく、不動産など現金化が難しい財産に対しても課せられるからです。つまり不動産の相続に対して贈与税が課せられても、すぐに現金にするわけにはいかないため、支払いが一時的にフリーズしてしまうのです。
このような時、慌てて不動産を市場で売却しようと思っても、足元を見られ安く買い叩かれてしまう危険性があります。やはりこうした高額な不動産の処分は、数年ほどの期間を見ながら市場価格の動向を見て売買する必要があります。
そのために始めに述べや現金化というキーワードが重要になります。つまり不動産を所有する人物が、可能ならば生前に現金に変えておくという方法です。
これによって課税がされても現金で納税が可能になりますが、それだけではなく遺産相続の際にも分割が困難な不動産ではなく現金でわかりやすく分けられるので、多くのトラブルを未然に防ぐことが出来ます。
実際、税理士や弁護士に寄せられる相続に関するトラブルで多いのがこのケースで、細分化出来ない不動産の所有権を巡って兄弟同士まさに骨肉の争いへと発展してしまうのです。
こうした事態を避けるためにも現金化が重要ですが、さらに現金化することによって贈与税の控除枠というものを使用することが出来ます。
つまり一年で110万円が上限の贈与税の非課税枠を長期に渡って利用することにより、10年ではおよそ1000万円分の相続税を実質削減出来たことになります。
このように相続税に関する関心が高まる中、こうした複雑な制度を利用するにはやはり税理士に依頼するのが最も後悔のない方法です。それでなくても所得税や消費税など課税負担がかつてないほど高まっている現代では、せめて親の残した財産位は税理士などを利用することによって国に過剰に奪われることなく、しっかりと自衛することをお勧めします。