遺産分割協議ができず申告期限後に相続税申告をした事例
依頼者
伊藤様(仮名―東京都在住)60代 女性
事案の内容
伊藤様(仮名)の母親は、伊藤様に遺産全部を相続させるという内容の自筆証書遺言を残して亡くなりました。
相続人は伊藤様と長男Dの2名ですが、伊藤様は、遺産を全て相続する内容の遺言が原因で兄妹間の係争になることを危惧し、弁護士法人リーガル東京に相談に行きました。
リーガル東京で調査したところ、相続税申告が必要な事案でしたので、遺言に基づき相続税申告をすることにしましたが、母親名義の通帳を調べたところ、母親が亡くなる少し前に長男側に2000万円位の振込送金があり、長男側が生前贈与を受けていた可能性がありました。生前贈与ならば、みなし相続財産として遺産に含めなければいけないし、貸金とか預け金の主旨だとしても遺産に含めなければならないのですが、長男Dから、そのことについて何らの回答もありませんでした。
その後、長男Dの弁護士から伊藤様のもとに、自筆証書遺言は偽造されたものだから無効であり、遺産の半分を渡すよう内容証明郵便が届きました。
解決の内容
遺言はあるが、遺産をもらえなかった相続人から遺言無効の裁判を起こされたとき、相続税申告をどうすべきか問題になります。すなわち有効な遺言だとして遺言内容に従った相続税申告をするのか、それとも遺産が未分割だとして相続税申告をするべきなのかです。
この点は、リーガル東京の弁護士において、自筆証書の遺言書が法律上有効であることの調査確認をした上、リーガル東京の税理士が、その遺言書の内容に従って相続税申告をして相続税を納付しました。
長男D側が生前贈与を受けていた可能性がありましたが、これについては、詳細不明でしたので、相続税申告の遺産には加えませんでした。しかし税務署へ提出した書面(税理士法33条の2第1項の添付書面)には、長男への生前贈与の点などを記載し、後日修正申告する可能性を付記しました。
伊藤様は、遺言に基づいて、各金融機関にある亡母名義の預貯金の解約払い戻し手続をしました。一部金融機関がこれに応じてくれましたが、一部金融機関は、
解約払い戻しに応じてくれませんでした。長男D側の弁護士が金融機関に遺言無効の訴訟をする主旨の内容証明郵便を送っていたからでした。
その後ほどなくして長男Dが伊藤様に遺言無効確認訴訟を提起しましたが、伊藤様はあらかじめ法律問題もリーガル東京に依頼されていましたので、弁護士が遺言の有効性を法廷で証明していくための訴訟対応に入りました。
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この記事の監修者
弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
小林 幸与(こばやし さちよ)
〇経歴
明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。
日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。
豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。