遺産分割協議ができず申告期限後に相続税申告をした事例
依頼者
市川様(仮名―東京都在住)60代 男性
事案の内容
市川様は、姉A・本人・弟Bの3人兄弟でした。姉には夫も子供も両親も無く、仲の良かった市川様に全財産を相続させる意思があり、リーガル東京に相談依頼して、市川様に全部相続させる内容の公正証書遺言を作成していました。1年前に姉が病気で亡くなり、兄弟姉妹には遺留分がないので、このような遺言がある場合、市川様は姉Aの遺産を全部相続できます。弟Bは姉Aの
遺産を一切もらえません。姉Aは、九州に居住していましたが、東京都内に賃貸マンションを2戸所有し、かつ金融資産が5000万円以上ありました。市川様は、これらの相続手続と相続税申告の相談のため、リーガル東京に来所されました。
解決の内容
市川様の依頼により、先ず都内賃貸マンションの相続登記手続を、公正証書遺言に基づき行いました。同賃貸マンションには団体生命保険付の不動産担保ローンがありましたので、その手続をして抵当債務を無しにすることができました。そうしたところから相続税申告すべき可能性(遺産総額が基礎控除額を上回る可能性)が生じましたので、市川様の依頼により、税理士法人リーガル東京が、相続財産の調査と相続税評価額の査定をいたしました。その結果基礎控除額を上回ることが判明しましたが、小規模宅地の特例などで賃貸マンションの評価を引き下げれば、納税しなくてもよい可能性がありました。
そこで都内賃貸マンションについて、測量図を入手して不整形地として土地評価額を減額し、さらに小規模宅地(貸付事業用宅地)として土地の評価額を50%減額しました。そのことにより遺産総額が基礎控除の範囲内(7000万円以下)にできて、相続税の負担0円となりました。
注)遺言で遺産配分が確定していれば遺産分割協議書がなくても遺産分割が済んでいるので相続税申告ができます。遺産分割できていることで小規模宅地の特例など相続税法上の優遇措置が利用できましたが、これら特例の適用を受けるには相続税申告をすることが必要です。
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この記事の監修者
弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
小林 幸与(こばやし さちよ)
〇経歴
明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。
日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。
豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。