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遺産分割調停中に相続税申告をし、調停成立後に修正申告・更正請求​をした例

依頼者

富田様(仮名・東京都在住・60代・主婦)

 

(相談の内容)

富田様は、父親が亡くなり、相続人は、父親の妻甲、長男乙、次男丙ならびに長女富田様の4人ですが、遺言はありません。亡父の遺産は、主に不動産(土地と住宅)でしたが、父親は妻(富田様の母)に土地(約800㎡)の持分4分の1を生前贈与していました。

 

富田様は、父親名義の土地の一角に、富田様の夫が住宅を建築して居住していましたので、夫名義の住宅の敷地部分約200㎡を相続することを希望していましたが、次男の反対で遺産分割協議がうまくいかず、リーガル東京
に相談に来ました。

 

その後長男乙が、裁判所に遺産分割調停を申し立てましたので、これを弁護士法人リーガル東京で受任し、相続税申告を税理士法人リーガル東京で受任しました。

 

 

 

(解決の内容)

富田様がリーガル東京に相談に来てまもなく、妻甲、長男乙並びに次男丙側が弁護士に依頼し、遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てました。調停の相手方となった富田様を代理して、リーガル東京の弁護士は、妻の生前贈与分の持ち戻しなどを主張し、住宅敷地約200㎡部分の相続を求めました。

 

これに対し、次男丙と妻甲が生前贈与については、亡父が持戻し免除の意思表示があったなどと反論してきました。遺産分割調停中に、相続税申告期限が迫ってきましたので、富田様から相続税申告の依頼を受けましたが、他の相続人全員からも相続税申告の依頼を受けました。

 

相続税申告期限までに調停が成立しなかったので、遺産未分割として相続税申告をしました。亡父の遺産のうち、土地(約800㎡)が3方向の道路に面する不整形地で、亡父自宅・駐車場貸地・富田様自宅と利用状況が分かれていました。測量図面などに基づき陰地割合を算定した不整形地補正を行い、3ヶ所に分けて土地の評価額を算定しました。

 

2年以上調停での話し合いを進めた結果、富田様のほぼ希望通り、住宅敷地部分約200㎡を測量分筆して、富田様が取得する内容の調停を成立させることができました。

 

もっとも長男と次男の弁護士から、富田様が法定相続分以上の土地を取得することになるので、妻甲(長男次男富田様の母親)の相続について遺留分の事前放棄を条件としてきました。富田様は、母親甲の相続について、長男次男と揉めたくないことや、今回の亡父の相続で遺留分相当の土地が取得できることから、この条件を受け入れることにしました。

 

そして富田様が取得する土地の20分の1の持分が富田様の母(妻甲)名義であったことから、遺留分を事前放棄する条件として、富田様の母(妻甲)名義の土地持分を富田様に生前贈与することも併せて取り決めました。
遺産分割調停が成立したことから、長男乙、次男丙ならびに長女富田様の3人は、修正申告をし、妻甲は更正の請求をして税金還付を受けました。

 

修正申告にあたり、小規模宅地の評価減特例適用を検討しましたが、次男丙は、両親と同居していたので、相続した土地について小規模宅地の評価減特例の適用を受けられましたが、長男甲と富田様は別居していて自己または配偶者が自宅を所有しているため、小規模宅地の評価減特例の適用を受けられませんで
した。

 

 
 
 
 

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この記事の監修者

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弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)

小林 幸与(こばやし さちよ)

〇経歴

明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。

日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。

豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。

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